かつて中国は世界の工場と呼ばれ、日本のみならず欧米諸国が先進技術を持ち込んで、廉価で質の良い製品を生産し、世界で販売をして利益を上げてきた。しかし、昨今の中国の人件費の飛躍的な高騰によって、中国を工場とするビジネス・モデルはもはや成り立ちえなくなった。それでもやはり、中国には人口13億人という巨大市場があり、購買力も飛躍的に増大している。したがって、いまでも「消費地で生産を」というビジネス・モデルに基づいて、中国にとどまり、又は中国に進出する日本企業が後を絶たない。
このようなビジネス・モデルのパラダイム・シフトに伴い、中国で生産をした日本企業は、13億人の巨大市場に連なる中国の卸売業者や小売業者と取引をする必要が生ずる。最近はこうした中国企業との取引に伴う売掛金の回収に当たり、様々な問題が発生している。
その一つに、中国企業が、売掛金債務を免れることを目的として別会社を作り、資産を移転するという事態があげられる。実際に起こった事件をもとに説明する。